2017年、アメリカ・ジョージア州のジョージア・クラフト社の作業員が材木用にチェスナックオークの木を伐採していた所、伐採した木をトラックに乗せる作業中に気の断面にあるものが挟まっていることに気付きました。
木の空洞と見られる部分にぎっちり詰まっていたもの・・・・それは何とミイラ化した犬でした。
全体に白みがかかった茶色の犬の遺体は腐臭もなく、生きていた時の姿そのままで気のウロに挟まっていたのです。
何故木のウロにミイラ化した犬が・・・??
発見した作業員はすぐに博物館に専門家の元でいき、犬のミイラの調査を依頼しました。
このミイラ犬の調査を依頼されたバーサ・スー・ディクソン氏が調べたところ、犬の死亡推定時期は1960年代で年齢は4歳ということが判明。乾燥状態にあったことで腐食せずにそのままの形が残ったということでした。
さらに犬が何故このような形で死んでしまったかについて、「何か小さな獲物を追いかけていてそれが木の穴に入り込んだのをそのまま突っ込み、抜けなくなったのだろう」とのこと。
この犬のミイラが出来上がった過程は簡単そうに見えて様々な偶然と奇跡の賜物と言えるようです。
ミイラ化したのには数々の偶然の積み重なりがあった
犬のミイラ化の件で西フロリダ大学で生物人類学の研究をしているクリスティーナ・キルグローブ教授が米メディアNews weekからインタビューを受けました。
クリスティーナ・キルグローブ教授が語るには「通常生き物が死んだ場合免疫機能が動かなくなり微生物による分解が始まる。今回の場合は犬が挟まっていたチェスナックオークの木にはタンニンが多く含まれていた為、腐敗を免れた」とのこと。
タンニンというは革をなめす際に使用される防腐成分であり乾燥剤としても使うことができます。
日本で馴染みのある物でいえば渋柿の成分もタンニンそのものですね。
あとお茶を飲んだ時の渋さ、あれも同じくタンニンの成分です。
クリスティーナ・キルグローブ教授によると、犬が挟まれたのがそのタンニンを含むチェスナックオークの木にであったことに加え、低湿度の環境が微生物の活動を弱め、遺体の腐敗が進まなかったという偶然と奇跡の上に出来上がったのがこの完璧な犬のミイラなんですね。
この犬のミイラは現在はジョージア州にあるサザン・フォレストワールド博物館にて展示されており親しみの意味を込めてStruck(はまる)に由来して「Stuckie」と名付けられ、訪問者たちを迎え入れているそうです。
犬のミイラ以外にも色んな動物のミイラが存在している?
ミイラと言えばツタンカーメン等エジプトのミイラが思い浮かびますが、実は今回のような動物のミイラも多数発掘されています。
こちらは犬歯が抜かれたヒヒのミイラ。
ファラオを傷つけない為に処置されていたようです。
こちらはカモシカのミイラ。木の棺に入っています。
猫のミイラです。ペットとして飼われていたのか猫のミイラは多く発掘されてるんだとか。
猫ミイラのレントゲン撮影したものですが、中に子猫がいるのが分かりますね。
古代エジプトでは動物は神として崇拝され神格化していたようです。得に猫はうっかり殺してしまった場合死刑になるほどに大事にされていました。
紀元前525年、エジプトとペルシャの戦いでペルシャ兵が猫の姿をしたエジプトの女神をが描かれた盾で武装したり、最前列に動物を配置してエジプト兵たちを降伏させたお話は有名ですね。
そんな古代エジプトではない現代で、偶然にして生まれた犬のミイラ。
木のウロにハマって抜けなくり死んでしまったいうのも可哀想に感じますが、木の中に閉じ込められていた分、博物館で多くの人に親しまれて欲しいですね。